社長の部屋CEO's ROOM

03.随想編

「新人の頃」その5

2015.08.03

出張

 入社2,3週間たったころ、後のエピソードとなる出来事があった。工場事務所で自主的な新人研修として資料など読んだり機械整備などしていた時、広島のプラントエンジニアリングの会社から電話が入って直属の次長が悩んできた。
聴いてみるとテストプラントに納めて動いていたバケットコンベアがトラブって回復できないとの連絡だが、出張させる人員がいない、とのこと。人選できずに出張させる返事が出来ないで苦慮していた。私はそれを聴いて「では僕に行かせてください。」と言った。どうせ機械は物理の法則で動いている。理屈に合って動いていたのだからそこに戻せばいいだけだ、と自信過剰で言ってしまった。

 さすがに次長はエッという顔をしたのは今でも覚えている。それでも適当な出張候補者がいない実情は変わらないので私にこう言った、「仕方ないから行ってもらうが修理できなくていい。ただし、出来なくても新入社員とは絶対言うな、入社3年くらいで言って帰ってくればいい」と。

 さっそく生まれて初めての出張となった。出張の方法も分からず相手先住所だけ聞いて深夜の寝台車に乗ったが、広島下車は早い時刻だ。県外など個人的にはめったに行かない時代だった。乗り越さないように注意した。当時は携帯電話どころか、未だFAXも普及していない時代だ。(確か電送写真という言葉があって新聞記事などでは多用されていた。)長距離電話さえ高くて使えない時代だった。図面や資料はすべて持参しないと送ってもらうことさえできなかった。会社を出たらすべて自分が頼りの孤独な時代だ。

 テレビドラマで見る出張には作業服など持っていくシーンは見たことがなかったので、着替えは持って行ったが作業服は持参しなかった(笑)。だれも教えてくれなかった。真夏の出張で現場では汗まみれ、おまけに運んでいたものが活性炭で腕は直ぐに真っ黒となった。年長者の顧客技術者を指示し、必要箇所のカバーを開けさせたり、二手に分かれて声かけあったりして作業して無事機械は復旧した。大手プラントエンジニアリング会社を相手に、入社3週間でトラブル解決しお礼を言わせた。これが技術に関しての自信過剰の始まりか(笑)

 その後今日まで、星の数ほどの技術トラブルには巻き込まれたが、自信喪失だけはしたことがない。技術の女神は出来ないと思った心にはヒントさえ与えて呉れない気がするのは、長い技術者生活からの教訓だ。技術者には我が身の無知を知る謙虚さは常に必要だが、ある時は自分への過剰なくらいの自信も必要だ。「俺がやらなきゃ誰が遣る」、「必ずやり遂げる」という過信が瀬戸際で時として我が身を支える。

 汗と活性炭で汚れた腕や靴を整え、服を着替えてその日の寝台で帰ったような気がする。なぜなら宿泊の手順や宿の取り方も知らなかったから。その頃の初めての地域への出張は駅について宿の広告看板見て或は電話帳で調べて電話するのが殆どだった。これが私の初めてのお使いならぬ初めての出張だ。

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