社長の部屋CEO's ROOM

03.随想編

感動を創造する その2

2006.06.30

 人が感動するのは自然の摂理や心理、美しさなどで味わうことも多いが、最も多いのは人の行動による感動ではなかろうか。命がけの人命救助や文化勲章をもらうような技もあれば日々の生活の中で見つける社会を守ったり温かく支える人
たちの行動も多い。後者に属することで私が感動した古いことと新しい些細なことを紹介する。

 1989年プレシード創業前夜と呼べる時期に起きた天安門事件。天安門の群衆に人民解放軍が解散制圧も図って侵入してきたとき、侵入する戦車の前に一人の若者が両手を広げて立ち塞がった。
 同じ民族での流血を何とか回避したいとの一念からだったのだろう。戦車も同じ人民を轢死させるのを避けるべく進路を曲げると更にその前に立ちふさがる。その繰り返しが幾度となく行われた、私はこの光景をテレビを見たとき涙するほど感動した。そしてこの青年の事を生涯忘れないでやろうと誓った。
 その後の青年の消息を私は知らない、国外へ逃亡したとも聞くし殺されたとも聞いた。しかし、彼は私の人生が続く限り私の心の中で生き続け私を励ましてくれる。「自分の命より遥かに守る価値が有るものは存在する。」と。困難に出会った際、彼が時々私の心に現れて勇気をくれる。「何を恐れる、真に守らねばならないものを考えよ。」と。
その後の中国を彼はどこから見守ってくれているのだろうか。

 もう一つ些細な?感動。
東京事業所が入っている蒲田のビルのトイレが実にいつも綺麗であることにある時気づいて何人かの人に話したことがある。ある日、朝早くいくと一回の玄関付近をにこやかに掃除している白髪混じりの婦人に出会った。その場では「おはようございます。」と声掛けただけで過ぎてしまったが、後でこの人が掃除の主ではないかと思って東京事業所のU氏に確認したらやっぱりそうらしいと分かった。
明るそうなただのおばさんだが掃除している風景で感動したのではなく、掃除の結果で感動させてくれるのだからやはり只者ではない、いつか話しする機会でもあればと思っている。そして訊いてみたい「どうしてトイレ掃除にこだわれるのか」と。
 私も創業以来約16年間はほとんど毎日トイレを掃除した。そして後進にその道を譲るときの為にトイレマニュアルを書き遺した。(それを今日は添付するが、)しかし、マニュアルは所詮マニュアルである。マニュアルでは人に本当の感動は与えられない、マニュアルがきっかけで始まって、人に対する思いやりの心にならない限り本当の感動を創造するには至らないとつくづく思う。デパートや小売業の顧客満足度を推進するとき、マニュアルが先ず取り上げられるが、行き着くところはマニュアルを道具として思いやりの精神まで昇華できているかが問われることになると思う。
 昨日テレビで中国の暴動で破壊された平和堂の復活が伝えられた報道を見た。人をもてなす精神、顧客に喜ばれようとする精神が中国人スタッフに育っているのを見て感動した。破壊する中国人もいればお客様満足を喜びとする中国人、それに感動する中国人もいるのだ。感動を創出したり貰ったりする世界には不易な破壊や避難応酬はあり得ない。先ずは目の前の相手を感動させる人でありたい。
確かに難しいことだが…。

私のトイレ掃除への思いと「マニュアル」
                                 
始めに
 創業間もない頃よりトイレ掃除を始めた。創業の地のトイレは簡易水洗であり施工が悪く、オーバーフローや水を多く使えない掃除に悩まされた思い出がある。現在の本社工場へ入居後は事務所トイレのみ週一回のペースで掃除している。私が掃除しているせいか皆が比較的清潔に保ってくれていることに感謝している。それでも10年以上続けていると洋式トイレの便座の裏の汚れ方で何人かの社員の在、不在なども分かるようになった。トイレ掃除にも様々な学びと進化があった。
 そもそもトイレ掃除を続けてきた思いをここで改めて書き残しておきたい。トイレ掃除は将に経営に似ていると思ったからである。掃除しても掃除してもすぐに汚れる。汚れるから掃除しないのであればやがて使えなくなる。経営も会社を継続すると言うことはまさに当たり前の事を維持していく力があるかに尽きる。また、トイレ掃除というのは一般には汚くて屈辱的な事である。経営者は最も先頭でスポットライト浴びると共に陰では最も悲惨で屈辱的な事にも立ち向かわねばならない。それを自分に暗示するのがトイレ掃除だと思い、十数年前、継続することを決めた。
 ならば、その汚いことのいやなことの象徴に如何に前向きに取り組むかを考えてみて、以下のことの目的意識をもった。
1.徹底的に綺麗にする。
2.資源を無駄使いしない。
3.手順を研究し最も効率的な手法を確立する。
トイレ掃除やり続けると実に奥が深いことを感じるし、今でも色々な発見や学ぶ事も多い。もし、これを嫌なこと逃れたいこととして続けていたならば学びの少ないことであったかもしれない。

トイレ掃除マニュアル(20分コース)
 最近、嘉島事業所出社と出張により殆ど本社工場に始業前に出社することが殆ど無くなったのを機に私にとって企業統治の象徴であるトイレ掃除を高山常務に引き継ぐこととした。この機会に私がやってきたトイレ掃除のマニュアルを書き残す。
注意
 1.トイレ掃除は始業前に必ず完了すること。
 2.かって30分以上かけて行った同じ内容を腕を上げて20分に短縮できた。手抜きはあってはならない。
 3.洗剤や薬液は最低限の使用にする。
手順
 1.トイレの照明と換気トイレ扇のスイッチを入れる。
 2.トイレ内の踏み板と掃除道具を廊下へ出す。
 3.箒とちり取りで一面を掃きゴミをとる。
 4.ホースを手洗い蛇口に繋ぐ。この際に抜け落ち防止のためU字トラップに掛ける。
 5.バケツに6分目に水をためる。
 6.小便器を一度流して表面を濡らした後にスポンジに洗剤()を少量つけて磨く。特に目で見えない部分に結晶化する。便器磁器部の内と外を丁寧に磨く。スポンジや2層型が良いが研磨剤や堅いスポンジは使わない。
 7.洋便座は蓋の裏側が最も汚れているので最初にスポンジで拭き取る、便器内は部屋内に設置している掃除ブラシの清掃もかねて隅々まで磨き、水を流しながらにブラシとスポンジを洗う。
 8.便器を洗った後バケツの水を便器内に捨て新しい水に替える。
 9.掃除用雑巾を濡らす前に便器の水分を拭き取り、磨く。この際に汚れが残らぬように良く磨くこと。
 10.洋便座は特に隅々まで拭きり残しが無いように注意
 11バケツに少量の洗剤2,3mlを加え、雑巾を緩めに絞ってタイルを磨く。特に目地の汚れを拭き取る。トイレ掃除の醍醐味は自らの手で床面に這いつくばって磨くことにあると心得ること。
 12.拭き終わったら雑巾を荒い水を入れ替え、更に雑巾とバケツを洗う。
 13.もう一度3分目の水に組み替えてスポンジや雑巾のすすぎ洗いを行い。用具を定位置に戻し手袋をはめた手をを逆性石鹸で洗った後外す。バケツを最後に水ですすいでかたづける。ホースは手荒い下のU字間に巻いておく。
 14.乾いた壁拭き用雑巾で鏡面、便器外側、時間の余裕に合わせて壁を磨く。艶を求める物は濡れ雑巾で拭きっぱなしにしないこと。
 15.壁ふき雑巾を水で洗って絞り、スノコやドアなどを拭き上げる。使用後、雑巾を良く洗い固く絞って定位置にかける。
 16.アルコールを取手など手で触れる部分や便座にスプレーし、暫くして紙タオルで拭き取り磨く。使用する紙タオルは資源保護上一枚。
 17.手洗い部分の陶器や蛇口をスポンジで磨く。石けん置きなども含めて石鹸カスの付着を洗い流す。
 18.手洗い用逆性石鹸で手を綺麗に洗う。通常の石鹸はトイレに配置しないこと。
 19.最後に。晴れた日には雑巾やトイレ掃除用具一切を直射日光に曝し干す。

 以上は私のトイレ掃除法である。10年以上の経験を集積している。今後更に進化させる人たちが続くのを信じる。トイレ掃除は将に会社経営の縮図であることを理解する人が出てくることを期待する。
 たかがトイレ掃除でさえ様々な方法があり奥義がある。まして企業を運営する方法など完璧はあり得ない。永遠に未熟が続くと自覚するのが会社を引っ張る者の覚悟だと思う。
最後に、経営もトイレ掃除も考えて悩むのは汗を流して磨きながらでいい。徹底して磨く事から知恵が産まれる。

2006年6月30日

 

株式会社プレシード
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当社は1989年の創立以来、独立した自動機省力化機器の設計製作会社として、オートメーションの開発・設計・製作やOEM(相手先商標製品製造)を手がける技術者集団です。機械の設計、部品の製作、組立、配線、プログラムまで、すべてを一貫して行っている会社です。モノ作りに興味があって、機械組立やソフト設計がやりたい方お待ちしております!

機械装置開発・設計・製作のプレシード

モノづくりを通して感動を

プレシードは製造・生産の課題を技術と知恵で解決するプロフェッショナル集団です。

「多品種生産が可能な製造装置があれば、生産量を増やせるが・・」
「自動化することで生産性と品質の向上を実現したいが・・・」
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これからも培った技術と知恵でお客様の課題を解決し、ともに成長し続けてまいります。

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