社長の部屋CEO's ROOM

03.随想編

夢追い会社へ

2021.12.27

 子供の頃から母親や祖母に「夢のようなことばかり言う」とよく言われた。エジソンやライト兄弟、アムンゼン、白瀬矗、などに憧れた。全くタイプが違った人たちだが私には同じに思えた。そう、子供の頃からの自分の夢を追って、実現した人たち、すなわち挑戦者たちだ。人が遣ったことがない、人が見たことがないことに挑戦した人たちだった。私の身近にはそのかけらもなかったし、ロマンの香りさえしなかった。ただ本の中にはあった偉人の世界だった。

 

 1989年、自分のモノづくり発明への夢を追って会社プレシードを創った。先ずは何処の会社からでもいいから欲しいと言われるものを形にして持っていって稼ぎながら走ろうということから始まった。

 当初はかなり独創的な私の設計が多かった。何故なら話を聴く顧客は何をしたいかゴールだけは語ってくれるが、機械装置に詳しい人たちではなかった。私の独創的な構想に耳を傾け注文を呉れた。何故なら予想外に安かったのとどこも他に相手するところがなかったからだろうか。

 実際失敗も多かったし、随分と手こずったものもあったが、それでも比較的利益は出た。何故なら常識外れのケチケチ構想とケチケチ設計だったし、営業から設計・組立・納品まで私とその仲間でやってしまったから人件費は時間も単価も少なかった。外部に支払うのは部品代だけ。だから安くつくような部品に執着した。購入品も加工部品もきわどい選択ときわどい設計だったから時には選定や判断ミスもあったがそれが学習にもなった。

 そして30年の歳月が流れ、私が最前線に出向くことは減ったが会社が遣っていることは同じだ。ある顧客企業が欲しいと云った装置を納品するが、構想は最近では顧客のものが多く、競合でのコスト競争で勝ち残ってやっと受注し、設計に失敗が重なり赤字を作ってしまう。アイデアを楽しむような自由度も少なく、納品までの時間も少ない。

 何をしたくてプレシードを創ったのかと、この数年は考え続けた。創業時と同じく先ず働く人たちが食べねばならない。だから先の事へ時間や金を投資するより先ずは目の前を生きてきた。それを30年続けた。しかし仕事は絶対にワクワクするものがなければならない。他の人はともかく私にはワクワクするものが減った。

 

 最近よく考える。プレシードをそういう会社に育てたかったわけではなかった。他の会社はそうであってもプレシードは違うのだ、と叫びたい心境だ。コロナ感染拡大下で出張に行けない日々、会合も出来ない日々が出来て尚更考えることが多くなった。

 「これは私が目指した企業の姿ではない、プレシードだけはこういう会社にしない」と30年前に思った会社になっている部分も感じる。いま高齢者になってしまって最後の挑戦に乗り出そうと真剣に思っている。しかも創業当初描いた方向への大方向転換ではなく、一部の力を割いて投入してリスクを回避してメーカーへの道に挑戦するという難しい道を選択する。これはいまだから出来ること。

 創業時代には人も時間も知名度もない中で二つの方向を動かすということは出来なかった。幸い今は30年間で培ってきた信用と企業規模と経験・技術がある。設備もあるし人もいる。蓄えた経験だけは失わない。三十数年の蓄積がある今だからできる筈だと思っている。我社ほど技術経験に富んだ会社は少なくとも熊本では珍しいと言える。自慢ではない。今は挑戦の傷跡や復活経験を多く持つ企業だというだけのこと。

 

 「プレシードはメーカーだ」と呼んで呉れる人も多いが、私にとってはメーカーではない。メーカーというのは自分たちが考え創造したものを市場に持ち込んでこそメーカーだと私は思っている。自社で考え自社で値段を決めて自社で販売先を捜してこそメーカーである。

 道は険しい。一件で3000万円の工場設備を受注し製作することは我社では極く平均的な受注物件であるが、一台3000円の物を一万個作って売る計画という計画には途方もなく困難さを感じる。それでも今の力をこの雪原のような市場にラッセルして道を拓きたいと心底思う。私の人生にとっては、もう最後のBHAGを担うチャンスなのかもしれない。

 苦しみもあるだろうが、社会に自分がいたからこそ生れ出たものを残して後続に渡して果てたいものだと思う。お金でもない、名誉でもない、ただの意地なのかもしれないが、「夢追い会社」を、会社の一部の力を全力投入(わかるだろうか?)して実現したいものだ。

 

2021.2.10記す

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