最近、ある社員君に「ラッセルしろ」と時々いう。ラッセルという言葉を知らない人もいるかもしれないが、新雪の山を歩く時、先頭に立って新たに歩く道を踏み固めながら作る事であり、後ろを歩く人より何倍も疲れるし、進路を間違えば遭難ということにさえなる。
ビジネスも後ろからついて行って道が出来たところを歩くのは、油断して踏み外さなければ、或はがけ崩れさえ用心すれば道の行先は見えている。行先の見えない道を切り開くのは大きなエネルギーが必要だし、行先が見えない不安や判断ミスとの不安と闘いながら人を導かねばならない。時には大きく迂回したり、無理して突き進み引き返すことを余儀なくされることもある。それでも上手く到着すれば後ろから来る人には楽に歩ける道が提供出来ている。
「ブッシュしろ」というのもある。ブッシュとは草藪の意味だが、夏の山でも新しい道を拓くには、先が見えない草藪の中で虫や蒸し返る熱さや草負け、小枝と闘いながら後ろに続く者を率いて進まねばならない。背丈を超す草藪では地図とコンパスだけが頼りである。間違って崖に向かったことも経験した。しかし、視界が開けて頂上に着いたとき、あるいは帰路の道を発見したときの感激はひとしおである。
時々ビジネスを山登りと比べたり、海洋を走る帆船と比べることがある。どちらも私は遊びレベルであるが少し経験した(本格的ラッセルの経験はないが…)。経営は私には常にラッセルとブッシュの連続だった。経験豊かな経営者や、先達や学問から経営のノウハウを学んだエキスパートにとっては近い道を探せることでも私には苦闘の連続だったような気がする。我流では険しい山には登れないが、私にはトレーニングする余裕がなかった。無鉄砲に険しい山に挑んだり、視界の無い波高い海に挑戦したような経営だった気がする。30年の経営でやっと少しは道が見えるようになった。
高村光太郎の有名な詩に「道程」がある。中学生の時に出会った詩だが、経営のなかでふとこの詩の「僕の前に道はない」のくだりを思いだす日々が有った。
道程 高村光太郎
僕の前に道はない
僕の後ろに道は出来る
ああ、自然よ
父よ
僕を一人立ちにさせた広大な父よ
僕から目を離さないで守る事をせよ
常に父の気魄を僕に充たせよ
この遠い道程のため
この遠い道程のため
最近はこの詩の「一人立ちにさせた広大な父」というくだりに関心が行くようになった。「一人立ちにさせた広大な父」とは私にとっては仕事そのものだったというのは素直に認められる。そして、「この遠い道程の為、この遠い道程の為」、私の人生は今までどのくらいの道程を歩き、残りはどのくらいなのだろうか。ラッセルの日々にいる限り、「常に父の気魄を僕に充たせよ」である。
「道 程」
高村光太郎より朱記部変更流用
僕の前に道はない
僕の後ろに道は出来る
ああ、仕事 よ
父よ
僕を一人立ちにさせた遠大な仕事よ
僕から目を離さないで守る事をせよ
常に父の気魄を僕に充たせよ
この遠い道程のため
この遠い道程のため
2019.9.13記す
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